プーちゃんのドキドキ!宇宙プール大作戦

夏休みのある晴れた午後、町の外れにある、ちょっと古びたプールにプーちゃんはいた。水しぶきをあげ、友達と戯れる声が響いている。けれど、今日のプールの水は、なんだかいつもと違って見えた。太陽の光が当たって、キラキラと、まるで宝石を散りばめたように輝いているのだ。「わあ、今日のプール、きれいだなあ」プーちゃんは、水面を見つめてつぶやいた。その時、隣にある大きな競技場の方から、かすかに、でも確かに、不思議な音が聞こえてくるような気がした。誰もいないはずなのに、誰かがいるような、ざわざわとした音。「こ、こわいかも…」プーちゃんは、ドキドキする胸を押さえながらも、そのキラキラしたプールから目が離せなかった。

プールから上がり、タオルで体を拭いていると、プーちゃんは信じられない光景を目にした。プールから流れ出す水が、まるで生き物のように、競技場の方へ、ずずっと吸い込まれていくのだ。一体どうなっているんだろう? 恐る恐る競技場へ近づいていくと、その真ん中に、見たこともないような、キラキラと光る不思議な「宇宙船」が、静かに停まっていた。船の扉がゆっくりと開き、中から、小さな、背丈がプーちゃんの膝ほどしかない宇宙人が出てきた。その体は、星屑のようにキラキラと輝いている。「ピカピカ!」宇宙人は、プーちゃんに向かって、まるで挨拶をするかのように手を振った。プーちゃんはあまりの驚きに、思わず一歩、後ずさりしてしまった。

「あのね、ぼく、キラキラ星人っていうんだ!」宇宙人は、プーちゃんの戸惑いをよそに、嬉しそうに言った。そして、故郷の星が、最近暗くなってしまって、住む場所を失い、逃げてきたのだと話してくれた。でも、地球の「プール」の水の「キラキラ」が、宇宙船のエネルギー源にぴったりだったらしい。キラキラ星人は、もっとたくさんの「キラキラ」を集めるために、プールの水を競技場まで運んでいたのだ。「キラリーン!」と、キラキラ星人が困った顔で言うと、プーちゃんは、ふと、自分にも何かできることがあるかもしれない、と思った。「よし、ぼくも手伝うよ!」プーちゃんは、少しだけ勇気を振り絞って、言った。

プーちゃんは、キラキラ星人を助けたいと思った。でも、プールの水がなくなってしまうと、みんなが困ってしまう。そんなことを考えていると、プーちゃんの視線は、競技場の屋根に並んだ、たくさんの「競技用ライト」に吸い寄せられた。もし、このライトの光を「キラキラ」に変えられたら…? プーちゃんは、キラキラ星人の持っていた「ピカピカ・スイッチ」を借りて、ライトを一つずつ、プールのように「キラキラ」光らせていった。「カチッ!」「ピカッ!」と、競技場が、まるで宇宙の星空のように、色とりどりに輝き始めた。「わあ、すごい!キラキラだ!」プーちゃんは、さっきまでの怖かった気持ちをすっかり忘れて、夢中になってライトを点けていった。

競技場いっぱいに広がった、まばゆいばかりの「キラキラ」の光で、宇宙船は満タンに元気を回復した。キラキラ星人は、プーちゃんに何度もお礼を言って、「また遊びに来るでちゅ!」と、光り輝く宇宙船に乗って、夜空の彼方へと飛び立っていった。プールの水も、いつものように元通りになっていた。プーちゃんは、いつものプールが、実は宇宙と繋がる秘密の場所だったことに、ドキドキとワクワクでいっぱいになった。プールに潜った時、キラキラしたものが一瞬、目の前を横切ったような気がした。「きっとまた、キラキラ星人が遊びに来てくれる!」プーちゃんは、満面の笑顔で、星が瞬く夜空を見上げた。いつもの場所が、宝物になる。そんな、ささやかで、でも大きな希望に満ちた気持ちで、プーちゃんは、また新しい冒険が始まる予感に胸を躍らせていた。

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