ちっちゃな探偵さんのふしぎな冒険

ある晴れた日。おひさまが「ぽかぽか」あったかい、おかあさんの書斎。

そこには、ちっちゃな探偵さん、「はなちゃん」がいました。5つになったばかりの、元気いっぱいのはなちゃんは、探偵ごっこがだーいすき。

「よし、きょうは、ここで『キラキラ』さがしをはじめるぞ!」

はなちゃんは、お気に入りのおもちゃのスマートウォッチを、手首に「ぴこぴこ」とつけました。このスマートウォッチは、ほんとうは、おかあさんが使うものだけど、はなちゃんが「わたしも探偵さんになる!」とおねだりしたら、おかあさんが「ふふ、いいわよ」と、はなちゃん用にちょっとだけ、魔法をかけてくれたのです。

「あれれ?このスマートウォッチ、いつもとちょっと、ちがうぞ?」

はなちゃんは、まあるい画面を「じーっ」と見つめました。画面には、見たこともない、ちっちゃな「ふしぎな記号」が、点滅しているのです。

「わあ!なんだろう、これ?おてがみかな?」

はなちゃんが首をかしげていると、そばで、くろすけが「ごろごろ」と、気持ちよさそうに喉を鳴らしました。

「にゃーん?」

くろすけも、なんだか不思議そうに、スマートウォッチの画面を見上げています。

「くろすけ、この記号、わかる?」

はなちゃんが聞いても、くろすけは「ふむ…」と、首をかしげるばかり。

窓の外では、風が「さらさら」と、緑の葉っぱをゆらしていました。その風の音に反応するように、スマートウォッチの記号が、また「ぴこぴこ」と変わりました。

「ほんとだ!くろすけの声や、風の音で、記号がかわるんだ!」

はなちゃんは、ますます「わくわく」してきました。この「ふしぎな記号」は、一体、何を伝えているのでしょう?

「そうだ!このスマートウォッチには、ぴこぴこ動く、ちっちゃな妖精さんが住んでるんだ!」

はなちゃんは、スマートウォッチの画面に、そっと話しかけてみました。

「こんにちは、妖精さん!わたし、はなちゃん。この記号、なんだか教えてくれる?」

すると、画面の奥から、とっても小さな、キラキラ光る妖精さんが、顔を出しました。

「ぴこぴこ!こんにちは、はなちゃん!わたしは、ぴこまるだよ!」

ぴこまるは、とっても速く、軽やかに、おしゃべりを始めました。

「その記号はね、とっても賢い、『ひみつのお箱』からの、秘密のお手紙なんだよ!この世界の、おもしろい仕組みを解き明かすための、すてきな『なぞなぞ』なんだ!」

「なぞなぞ?」

はなちゃんの目が、まんまるになりました。

「そうだよ!だから、はなちゃんには、身の回りの『ちっちゃなもの』を、よーくよーく、じーっと観察してもらわないといけないんだ。そうしたら、お箱が、いろんな『ひみつ』を教えてくれるよ!」

ぴこまるは、そう言うと、スマートウォッチの画面で、指を「ちょんちょん」と動かしました。すると、画面に、お花の写真が映し出されました。

「たとえば、このお花!花びらが、なんであんなに『ふわふわ』なのか、知ってる?」

「うーん…」

はなちゃんは、窓辺に飾ってある、きれいなお花を「じーっ」と見つめました。その花びらは、まるで、赤ちゃんのほっぺたのように、やわらかそうです。

「それから、このアリさんたち!『てちてち』、どこへ行くのか、わかる?」

窓の外を、アリさんが、一生懸命、歩いています。

「それから、雨が降ったあと、葉っぱの上で『ぽつぽつ』光る、あのお水は、なーんだ?」

はなちゃんは、ぴこまるの言葉に、ドキドキしてきました。

「わかった!観察すればいいんだね!」

はなちゃんは、スマートウォッチを「ぱしゃり」と、カメラモードにしました。

まずは、お花。花びらに、ぐっと顔を近づけて、「わあ、ふわふわ!」と、写真に撮りました。その写真を見ると、花びらの表面に、小さな「ぷつぷつ」があるのが見えました。ぴこまるが、「それはね、お花が、おひさまの光を、いっぱい吸い込むための、ちっちゃな『ちゅうもんじ』なんだよ」と教えてくれました。

「おひさまの光を、ぐんぐん吸い込むんだ!」

次は、アリさんたちです。アリさんが、何匹も、列になって歩いています。はなちゃんは、アリさんたちの写真も「ぱしゃり」。

「てちてち、どこいくのー?」

写真には、アリさんたちが、まるで、おしゃべりしているかのように、触覚を「ぴくぴく」させている様子が写っていました。ぴこまるが、「あれはね、仲間とお話しして、おうちまでの道や、おいしいものを教え合ってるんだよ。みんなで、わいわい、協力してるんだ!」と、教えてくれました。

「お友達とお話ししてるんだ!すごいなあ!」

最後は、雨粒です。昨日降った雨が、葉っぱの上に、小さな宝石みたいに残っていました。はなちゃんが、その葉っぱを「ぱしゃり」と撮ると、雨粒が、おひさまの光を浴びて、「きらきら」と輝いていました。

「わあ、きれい!宝石みたい!」

その瞬間、スマートウォッチから、「ぴこーん!」と、楽しそうな音が鳴り響きました。

「わかったよ!ぜーんぶ、わかった!」

はなちゃんは、嬉しくて、思わず、ぴこまるに話しかけました。ぴこまるは、画面いっぱいに、虹色のメッセージを表示しました。

「ありがとう、はなちゃん!世界は、もっともっと、ふしぎで、すてきな場所だよ。君は、その『ちっちゃな不思議』を見つけるのが、とっても上手なんだ!」

書斎の窓から、夕焼けが「ほんわか」と、優しく差し込んできました。部屋の中が、あたたかいオレンジ色に包まれます。

はなちゃんは、くろすけを、ぎゅっと抱きしめました。

「くろすけ、きいた?お花は、おひさまの光をいっぱい吸って、アリさんは、お友達とお話しして、雨粒は、葉っぱでキラキラ光るんだね!」

くろすけは、はなちゃんの腕の中で、「ごろごろ」と、心地よい音を立てています。

「世界って、本当に、ふしぎで、やさしい場所なんだね!」

はなちゃんは、今日の「ちっちゃな探偵さん」の冒険で知った、世界の不思議と優しさを、自分の言葉で、ゆっくりと、語りました。

眠りにつく前に、はなちゃんは、スマートウォッチをそっと撫でました。

「ぴこまる、ありがとう。また、あそぼうね!」

スマートウォッチの画面は、静かに、「おやすみなさい」と、やさしい光を放っていました。

世界は、とっても、とっても、やさしい場所。

はなちゃんは、そんな温かい気持ちに包まれながら、すやすやと、夢の世界へと旅立っていきました。

この記事をシェアする
このサイトについて