ぷくぷく、ぐんぐん、はなまるの木
夏の日、まぶしいおひさまが、キラキラ、キラキラ。 はなちゃんは、窓辺で冷たい炭酸水を飲んでいました。 「シュワシュワ、ぷくぷく…」 小さな泡が、グラスの中で、くるくる、ふわふわ、踊っています。 その泡をじーっと見ていると、お庭の鉄棒が、なんだか、とっても、キラキラして見えました。 まるで、お母さんが華道のお稽古で使う、ピンと張った、かたい剣山みたい。 「もっと、もっと高く飛んでごらん?」 鉄棒が、はなちゃんに、そう、お誘いしているような気がしました。
でも、鉄棒は、なんだか、とっても高いのです。 はなちゃんは、鉄棒で、くるん!と、逆上がりをしてみたい。 でも、ちょっぴり、こわい。 「大丈夫よ、はな。 ゆっくりでいいのよ。」 お母さんが、やさしく、言ってくれます。 でも、はなちゃんの足は、なんだか、地面に、くっついて、動かない。
「ふわふわ〜、大丈夫だよ〜。」
友達の妖精、ふわりんが、綿あめみたいに、ふわふわ、ゆらゆら、はなちゃんのそばで、応援してくれています。 でも、はなちゃんの心は、まだ、ドキドキ、そわそわ、揺れていました。
そのとき、お母さんの華道のお稽古が始まりました。 今日のテーマは、「天に伸びる」。 お母さんは、きれいな枝を、ピンと、まっすぐに伸ばして、お花を、空に向かって、ちょこん、と生けていきます。
「ほら、はな。 この枝のように、まっすぐに、ぐんぐん、伸びてごらんなさい。」
お母さんの、やさしい声。 そして、剣山の、ぐっ!と、枝を、しっかりと支える、力強さ。
はなちゃんは、お母さんの言葉と、剣山の力強さに、鉄棒のことを、思い出しました。
華道のように、まっすぐに、そして、力強く。 地面を、えいっ!と、蹴れば、空に、近づけるかもしれない。
「よし、やってみる!」
はなちゃんは、炭酸水の、シュワシュワを、力に変えて、鉄棒に向かいました。 お母さんの「ぐんぐん」という言葉を、胸に、そっと、しまって。 ふわりんの、「ふわふわ」した、やさしい応援を、背中に、感じながら。
鉄棒に、ぎゅっ!と、つかまりました。
地面を、力いっぱい、蹴りました。
くるりん!
体が、くるりと、回る、不思議な感覚。 最初は、こわかったけれど、風が、「びゅーん!」と、はなちゃんの頬を、なでていきます。 空が、「ぐーんと」、はなちゃんの近くに、近づいてくるようです。 まるで、空を、きれいに、飾る、きれいな花になったみたい。
はなちゃんは、鉄棒の上で、ちょっぴり、ぐらぐら、したけれど、見事に、逆上がりが、できました!
「できた!できたよ!」
はなちゃんの、元気な声が、お庭に、響きました。
お母さんが、「はなまる!」と、満面の、笑顔で、拍手をしてくれました。
ふわりんも、「きらきら〜!」と、うれしそうに、踊っています。
夕日が、空を、オレンジ色に、染めて、お庭には、心地よい風が、ふいていました。
はなちゃんは、炭酸水の、シュワシュワ。 華道の、「ぐんぐん」。 鉄棒の、「びゅーん」。
全部が、ぜーんぶ、「はなまる!」になったような、温かい気持ちで、いっぱいになりました。
世界は、こんなにも、楽しくて、素晴らしい冒険で、満ちているんだ。
そう、はなちゃんは、確信しました。
そして、安心して、うっとりとした、笑顔で、 お母さんの、隣で、 すやすや、 眠りに、つきました。