ふしぎな旅館と、たこ焼き議会
山のおく、しんしんと、さむいふゆ。
でもね、そこには、あったかい、ぽっかぽかの、ふしぎなおんせん旅館があるんだよ。
「おんせん旅館・ぽかぽか」っていう、とってもやさしい名前。
そこにはね、いろんな、おともだちが、やってくるんだ。
きらきら、ひかる、ゆきのふぶくそらに、わくわくしながら、こたろうくんは、やってきました。
おかあさんと、おとうさんと、てを、つないで。
「わあ、いいにおい!」「あったかいね!」
こたろうくんは、ふわふわの、ゆげのむこうに、かがやく、おひさまみたいな、おいしいにおいを、かいだんだ。
おへやに、あんないされると、こたろうくんは、びっくり!
「えっ?」「あれ、なあに?」
まあるくて、おおきくて、ぷくぷく、あたたかい、ゆげを、だしているものが、おへやの、まんなかに、あったんだ。
それはね、なんと、たこやき!
「そうだよ、たこやきだよ!」「これが、おふろさ!」
へへへ、と、わらって、ぽんすけくんが、おしえてくれた。
ぽんすけくんは、この旅館の、わかおかみさん。
まるまるとした、からだの、かわいい、たぬきさんだよ。
「ええっ!?」「おふろが、たこやき?」
こたろうくんは、びっくりして、めが、まんまるに、なった。
おふろのおみずは、ほんのり、しょっぱくて、あまいような、へんな、おと。
「へんてこ!」「なんだか、どきどきする!」
こたろうくんは、はじめての、たこやきのおふろに、ちょっぴり、こわいような、おもしろいような、へんな、きもちになったんだ。
こたろうくんは、そーっと、たこやきのおふろに、あしを、いれた。
ふわふわ、ぽかぽか!
あったかくて、とっても、きもちがいい。
だけど、やっぱり、おみずのあじが、しょっぱくて、あまい。
すると、おへやの、すみっこから、ぴょこんと、かおが、でてきた。
「ゲロゲロ!」「これは、たこやきぎかいで、みんなで、きめた、とくべつな、『たこやきあじのおゆ』なのじゃ!」
おおきなこえで、カエルさんが、いった。
カエルさんは、たこやきぎかいの、ぎちょうさん。
こたろうくんは、ますます、ふしぎになった。
「たこやきについて、ぎかい?」
ぽんすけくんが、こたろうくんに、こっそり、おしえてくれた。
「ここ、『ぽかぽか旅館』ではね、おやどまりのおきゃくさんが、みんなで、『たこやきぎかい』を、ひらくのさ。
きょうはね、おひるごはんに、みんなで、いろんなあじの、おいしい『たこ焼き』を、たべる、たこやきパーティーなんだ。
だからね、おふろも、たこやきに、しちゃったんだよ!」
「こたろうくんも、きょうのたこ焼き、どんなあじが、たべたいか、いってみない?」
ぽんすけくんが、にこにこしながら、こたろうくんに、こえを、かけた。
こたろうくんは、リスさん、ウサギさん、クマさんと、いっしょに、たこやきぎかいに、さんかすることに、なったんだ。
ぎかいではね、みんなが、げんきいっぱいに、いったよ。
「きょうのたこ焼きは、ソースあじがいい!」
「いや、しょうゆあじだよ!」
「たこ焼きに、マヨネーズは、いるかな?」
みんなの、「すき」がたくさん、あつまる、ようすを、みて、こたろうくんも、なんだか、自分の、「すき」が、いいたくなった。
「ぼくはね、たこ焼きに、おかかぶしを、たっぷり、かけたいな!」
こたろうくんが、いうと、みんなが、「おおー!」と、こえを、あげた。
カエルさんの、ぎちょうが、おおきなこえで、いった。
「よーし、よーし! みんなの、いけんを、ちゃんと、きくぞ!」
こたろうくんは、みんなの、「すき」がたくさん、あつまる、たこやきぎかいが、とっても、たのしいと、おもったんだ。
ぎかいが、おわると、みんなで、あつあつ、ほくほくの、いろんなあじの、たこ焼きを、おいしく、たべたんだ。
「おいしいね!」「このあじも、いいね!」「どれも、おいしい!」
こたろうくんは、たこ焼きおふろで、ぽかぽかと、あたたまりながら、まどのそとの、きらきらした、ゆきを、ながめた。
みんな、すきなものが、ぜーんぜん、ちがっても、こうして、いっしょに、わらって、おいしいものを、たべられるのは、とっても、とっても、しあわせなことなんだなあ。
カエルさんの、「ゲロゲロ!」という、こえも、リスさんの、「ちゅうちゅう!」という、こえも、みんな、なんだか、たのしそうに、きこえる。
こたろうくんは、こころのなかから、ぽかぽかと、あたたかい、きもちになって、いつのまにか、うとうとと、ねむってしまった。
せかいは、なんて、ふしぎで、あたたかい、ばしょなんだろう。
こたろうくんは、とびきりの、えがおで、ゆめのなかに、たびだっていったんだ。