ゆうきくんの、きらきら仮想かくれんぼ
雨が、しとしと、ぽつぽつ。窓の外は、しずくの歌がきこえる日でした。ゆうきくんは、お気に入りの絵本を、ぎゅっと抱きしめていました。「わぁ、この絵本、とってもおもしろいね!」ゆうきくんは、絵本の中の、勇気いっぱいの冒険のお話に、すっかり夢中。でも、本当の冒険も、してみたいなあ。
そんな時、お母さんの声がしました。「ゆうきくん、ありがとう。あのね、地下室にある、古い箱を、ちょっぴり片付けてくれる?」
地下室? ゆうきくんは、ちょっぴり、ドキドキ。ひんやりとした、冷たい空気が、お顔をそっと撫でました。どんより、暗い影が、ゆうきくんの小さな体を、長く、長く、伸ばします。古い木の匂いと、ほんのり、懐かしい埃の匂いが、ふわり、ふわり。ゆうきくんの胸は、ドキドキ、ドキドキ。
地下室の、一番すみっこの、暗いところに、なんだか、キラキラ、したものがありました。ゆうきくんが、そっと、手に取ってみると、それは、古びた、ゴーグルでした。「これ、なんだろう?」
ゆうきくんが、ゴーグルを、そっと、お顔にかけると、わあ!目の前が、真っ白に、なりました。
そして、次に見たのは、見たこともない、まぶしい光に、満ちた、不思議な森でした!まるで、絵本の中から、飛び出してきたみたい!虹色に、キラキラ、光る羽根を持つ、ちょうちょが、ひらひら、ひらひら、舞っています。そして、色とりどりのお花は、ゆうきくんの顔を見ると、にっこり、笑うように、そっと、そっと、揺れました。「わぁ!すごい!」ゆうきくんは、目を、まんまるくして、見つめました。
森の中を、てくてく、歩いていると、ふわふわ、ふわふわ、とした、きらきら、光る、小さな妖精が、ゆうきくんのそばに、やってきました。「こんにちは、ゆうきくん」その声は、まるで、澄んだ、水の粒みたい。「ぼくは、ポポ。この森の、妖精だよ」ポポは、ゆうきくんの、頬を、優しく、撫でました。ふわふわ、の、羽が、とっても、気持ちいい。「大丈夫だよ、ゆうきくん。ここは、みんなが、笑顔になれる、とっても、素敵な、場所なんだ。僕が、ずっと、そばに、いるからね」
ポポは、ゆうきくんを、歌うお花や、虹色のちょうちょがいる、もっと、もっと、素敵な場所へ、連れて行ってくれました。ゆうきくんは、ポポと一緒に、まるで、大好きな絵本の中を、歩いているみたい!歌うお花に、「こんにちは!」って、話しかけたり、虹色のちょうちょを、追いかけたり。二人で、宝探しに、出かけることも、ありました。地下室の、ひんやりした空気や、雨の日の、退屈な気持ちは、すっかり、どこかに、飛んでいってしまいました。この、きらきら、ふわふわ、の、仮想現実の世界は、ゆうきくんの、想像よりも、ずっと、ずっと、楽しくて、まぶしい、場所でした。
楽しい時間は、あっという間に、過ぎていきます。ゴーグルが、ぽつり、と、教えてくれました。「そろそろ、おうちに、帰る、時間だよ」ゆうきくんは、ポポに、「また、遊ぼうね!」って、約束しました。名残惜しいけれど、ゆうきくんは、ゴーグルを、そっと、外しました。
目の前に、広がったのは、いつもの、地下室。でも、ゆうきくんの心は、ポポと遊んだ、きらきら、ふわふわ、した、楽しい、思い出で、いっぱいでした。ゆうきくんは、もう、地下室が、怖く、ありませんでした。だって、あの、ひんやりした、暗闇の、向こうには、ポポとの、楽しい、思い出が、きらきら、と、輝いているのです。ここが、新しい、冒険が、始まる、秘密の、入り口なんだ、と、ゆうきくんは、心の中で、そっと、呟きました。
ゆうきくんは、にっこり、笑って、お母さんの、元へ、駆け寄りました。「おかえり、ゆうきくん。楽しかった?」
「うん!」ゆうきくんは、元気いっぱいに、答えました。「世界は、こんなにも、わくわくすることで、いっぱいなんだ!だから、明日もきっと、素敵なことが、待っている!」ゆうきくんは、心から、そう、思いました。さあ、もうすぐ、おやすみの時間です。ゆうきくんは、目を閉じて、きらきら、ふわふわ、の、夢を、見ながら、ぐっすり、眠るのでした。